建築家と建てる家8

house "Wabi" is brimming with a playful spirit

「詫び」「寂び」とは日本の伝統的な美意識の一つですが、いざ説明を求められると、答えるのに窮するのではないでしょうか。しかし説明はできなくとも、過去から脈々と続く、日本人のメンタリティであることは疑う余地がありません。しかし人によって「詫び・寂び」に対する感じ方は様々で、また、かつての「詫び・寂び」と現代人が思うものには違いがあるはずです。ならば現代的な「詫び・寂び」とは何か、それらをを考察することをこの住宅のテーマとしました。古より日本建築の持つシンプルでありながら、美しく、機能的な特徴は、西洋の近代建築に大きな影響を与えたと言われています。無駄を排し、必要最小限で物を構成する考え方は、まさしく「詫び・寂び」の精神を体現したものであり、この住宅においても、その考え方を踏襲しています。「詫び・寂び」と聞くと、真っ先に千利休を思い浮かべる人も多いでしょう。千利休もいくつかの建物を設計しています。その建物は、機能的で、無駄を排したシンプルなものではありますが、ただ質素なだけの建物ではありません。実はあちらこちらにセンスの良い「遊び心」があるのです。装飾的にはならずに、素材の持ち味、形の意味を最大限に引き出した「遊び心」が溢れる数々の仕掛けや工夫が、総体的に現代的な「和」を表現した住宅になる気がしています。

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